「心」
ともすれば かき濁りけり 山水の
澄せばすます 人の心を
大意:澄んだまゝ静かにして置けば、清らかな山水のやうな人の心を、やゝともすると(ともすれば)手をつけてかき濁し善いのを悪くしてしまふ、濁すものさへなければ、人の心は元来山の清水の如く澄んで居るものであるのに。
「筆」
国のため 揮ひし筆の いのち毛の
あとこそ残れ よろづ代までに
大意:国家のために書いた(ふるひし)筆のいのち毛の跡即ち文字文章は、万々代までにも残って居る、その人は無くなっても、其筆にて事蹟が残るのは実にえらい力ではあるよ。