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国をおもふ 道に二つは なかりれり
いくさのにはに たつもたたぬも
大意:銃を取り剣を手にして、国の為め、戦場に向ふもあらう、また家に留まって、国の富其他公務に勉めて居るものもあらう、花々しく戦に出て、国に尽すのは実に立派で、其れに比べて国で平常の様に仕事をして居るのは不忠の様に見えるが決して左様ではない、戦場に立つも家に居るのも国を思ふ道に二つはないぞ。
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ひらけゆく 道に出でても 心せよ
つまづくことの ある世なりけり
大意:平々坦々として砥の如き路に出でゝも注意せよ、石に躓く事もある世の中であるぞ、人生の行路は幾ら文明の世と開けてゆくも、便利、自由に慣れて、迂闊すると失敗のあるものである。