「寄道述懐」
白雲の よそにもとむな 世の人の
まことの道ぞ しきしまの道
大意:己れの道とすべきものは決して遠き道にあらず、現に世人の踏み行く誠の道にあり、然るに殊更に人生の他にでもあるかの如くに、遠き処を求めんとするは、愚なる事である、決して他に求むるまでもなく敷島の道がそれである、との御意。
「夏述懐」
まつりごと 出でてきくまは かくばかり
暑き日なりと おもはざりしを
大意:日々表御所なる政庁に出でゝ万機を覧る間は、斯ほどに暑い日といふことも心付かなかったが、平素の座所に帰って見ると、心の弛むと共に常ならぬ暑さが堪えがたく感ずるよ。