現在の明治神宮御苑が、明治天皇の皇后に対する優しいお心づかいによって設けられ、明治天皇御自ら設計のお指図までされたのにもかかわらず、政務のお忙しさの余り、完成後もついに一度もお出ましがありませんでした。
こがねゐの 里ちかけれど この春も
人伝にきく 花ざかりかな
年年に おもひやれども 山水を
汲みて遊ばむ 夏なかりけり
の御製を拝するとき、今日の時勢と思い較べて、まことに恐れ多い次第です。
明治時代、わが国の興隆発展は世界の驚異とまでいわれていますが、これひとえに万機のまつりごとを御親裁遊ばされた明治天皇の御聖徳によることは申すまでもないことです。