明治天皇の御生涯を通じての御信条は「誠の心」であられたことは、御在世中の御逸事がこれを物語っています。
一例をあげれば、ロシアのニコライ皇太子を傷害した大津事件も、明治天皇の果断な誠意あふれる御行動によって解決されたと申しても過言ではありません。
鬼神も 哭(な)かするものは 世の中の
人のこころの まことなりけり
めにみえぬ 神の心にかよふこそ
人のこころの まことなりけれ
とお詠みになり、誠の心こそ、神の御心にも通じるものと仰せられています。世に「先憂後楽」という言葉がありますが、明治天皇の御生涯はまさにこの一語につきるといえましょう。